ばぶさん童話 ぽっかり
しろいくもが そらに ぽっかり とありました。
かぜが ぷふぅっ とふいてきました。
しろいくもは ふわぁっ とおされました。
おどろいて「うひょっ」といいました。
しろいくもが そらに ふわぁ っとありました。
かぜが ぴゅ―ぁあ とふいてきました。
しろいくもは びよぉおお っとおされて
おもしろそうに「わ~~い」といいました。
しろいくもが そらに びよぉおお っとありました。
かぜが だばぁああ とふいてきました。
しろいくもは どひゃぁあ っとおされて
おそろしくなって「あれ~~」といいました。
しろいくもが そらに どひゃぁあ っとありました。
しろいくものおなかには ぽっかりと
あながあいていました。
かぜが ぴろぴろぴろぴろぉお とふいてきて
「とんねる くぐってもいいですか」とききました。
しろいくもは
「ちょっとだけならいいですよ。
・・・ひゃぁあ~、くすぐった~い」
といってからだをねじりました。
かぜは「でられなくなっちゃったよぉお」っていいました。
しろいくもとかぜは「わっはっはっは」ってわらいました。
しろいくもとかぜが『わっはっはっは』と笑っていると
おひさまが、とおくのほうで
「はっはっはぁ はっくしょーん。」
とくしゃみしました。
おおきなおおきなくしゃみだったので
「ふあぁあああ~。 あ~よくねた ねた。」
とおおきなかみなりさんが目を覚ましました。
そして、ごろごろごろごろっと太鼓をたたきました。
その太鼓のおとで たくさんの
かぞえきれないほどたくさんの子どもかみなりが
くものベットからとびおきて、
ちいさな太鼓をころころころころころとたたきました。
ちいさな太鼓のちいさな音でしたが
あまりにたくさんの数のこどもかみなりが
いっぺんにならしましたので
その音はとてもおおきな音のかたまりになって
ぐぅわろ ごろごろごろっと響き渡りました。
くものうえはもうびしょびしょです。
「はぁーっ、はぁっ、はぁあ、
はーくっし・よ・ん」
とこんどはかぜがおおきなくしゃみをばくはつさせたので
そらがやぶれて
びしょびしょたちはおおつぶのあめになって
いっぺんにじめんにむかっておちていきました。
おおつぶのあめたちにしがみつかれて
かぜも「あれれ~~~」といっしょにおちていきました。
ひとりぼっちになったくもは ぽっかり。
「かぜさんだいじょうぶかなぁ?」
としんぱいしながらじめんをみおろしていました。
とおくのほうでおひさまがくすっとわらいました。
しばらくするとじめんのほうから
のんびり ゆらゆら ゆらゆらとかぜがのぼってきました。
「かぜさんおかえりー」とくもがいいました。
かぜはちょっぴりはずかしそうに
「ただいまー」っていいました。-完―