ばぶさん童話 (2/5回) ぷりプリシリーズ第2話 かみのけいっぽん
『ぷりぷりプリンセスのミルキちゃん』(全6回)の第2話です。
かみのけいっぽん
慈雨(じう)にいちゃんがイケル池の周りをてくてく歩いて行くと
三時の木の下に敷物を敷いて美容院ごっこをしていたのは
ぷりぷりプリンセスのミルキちゃんと
ころころココラちゃんでした。
敷物はお店の中なのだそうで
小さな椅子の上には順番待ちのお客様。
ぬいぐるみのくまさんとうさぎさんが坐っています。
手鏡を持ってヘアブラシで髪を梳かして・・・。
ところが二人してお店の人になりたくて
喧嘩になってしましました。
「ミルキちゃんが」
「ココラたんの」
「うはぁ~~。どどどうしたの?」
「ミルキちゃんが」
「ココラたんの」
「うわぁっとっとっとと。」
「ミルキちゃんが」
「ココラたんの」
「どひゃ~~。あじゃじゃじゃじゃあ。
ヘアブラシこわれちゃったよ」
「うんもう、ココラちゃんのせいだぁ。ぷりぷり」
「ミルキたんのていだ。ぶいぶい」
「ちょっとまってて、いまなおしてあげるから」
慈雨兄ちゃんがヘアブラシを直していると
髪の毛がいっぽん敷物の上に落ちました。
「あ、かみのけ」
とミルキちゃんが言いました。
「おんやぁあ、これはだれのかみの毛でしょう?」
「ミルキちゃんの」
「ココラたんの」
「ちょちょちょ、まったまったあ。」
「ミルキちゃんの」
「ココラたんの」
「いったいだれのかみの毛かしらべてみましょう」
慈雨兄ちゃんは髪の毛の端っこと端っこをつまんで
ピンと伸ばしました。
「このながさは・・・、」
っていいながら
「うさぎさんのかみのけでは・・・ないですねぇ。
くまさんのかみのけ…でもないです。
さてここでもんだいです。
このかみのけはいったいだれのかみのけでしょうか?」
「ミルキちゃんの」
「ココラたんの」
慈雨兄ちゃんはもう一度髪の毛の端っこと端っこをつまんで
ピンと伸ばそうとしましたが…。
「あれれ。かみのけどっかいっちゃった。」
「どこだどこだ?」
慈雨兄ちゃんとミルキちゃんとココラたんの三人は
四つん這いになって敷物の上を探しました。
くまさんとうさぎさんの人形も椅子に座ったまま
「かみのけ、どこだどこだ」
と見おろしています。
「おーいかみのけぇ。どこいっちゃったのぉお?」
「かみのけー、どこだあ」
「たみのてぇー、どこお」
「えー。『たみのてぇ』じゃないよ。かみのけだよ」
とミルキちゃんにいわれてココラたんがもう一度
「たみのてー」
といったとき
「あっ、あったあ。」
慈雨兄ちゃんは髪の毛の片方の端をつまみあげると
そのまま風になびかせました。
髪の毛はゆらりとそよぎました。
もう一度ピンと伸ばし空に透かして見ると、
髪の毛はお日様の光できらりと光りました。
みんな
「わっははは」って笑いました。
―完―