ゴリちゃんとリラちゃんに空が聴かせてくれたお話し
ばぶさん童話 ゴリちゃんとリラちゃんより
第8話 ゴリちゃんリラちゃんのサイクリング (第3稿)
ごんごり川の土手の道が、
今月新しく「サイクリング専用の道」に整備されました。
そこでゴリちゃんとリラちゃんはサイクリングに出かけました。
ごんごり川の土手の道 チリリン チリリンとベルを鳴らし
元気よくペダルを漕いでいくゴリちゃんとリラちゃんです。
風がとっても気持ちいいです。
すると、その風に交じってとってもいいにおいがします。
甘いバニラエッセンスのような香りです。
ゴリちゃんはペダルをこぐのを止めて大きく息を吸いました。
「リラちゃん、なんかとてもいいにおいがするよ。」
「ほんとうだ、どこからにおいがくるんでしょう」
「しらべてみよう」
二人は自転車から降りました。
「あっ、このきからいいにおいがしてくる」
その木には名札がついていました。
「なんてかいてある?」
「えーとね、『カラクニオガタマの木』だって」
「へえ~『カラクニ・オガタマ』かあ」
ゴリちゃんはもう一度、思いっきり花のにおいをかぎました。
「ほんとうに、いいにおいだね」
アイボリーホワイトの小さな花びらがばらばらになって、
木の根元に沢山降り積もっていました。
「これおみやげにしよっか」
「うん、ママきっとよろこぶわ」
二人は花びらを手のひらいっぱいに拾うと
ポケットに詰めました。
「ちょっときゅうけいしよう」
ゴリちゃんとリラちゃんはロクジ大橋の南側の土手に寝転んで、
思いっきりぐぅ~んと手足を伸ばしました。
「はああ~あ~」
「いいてんきだね」
二人が空を見上げていると空が素敵なお話をしてくれました。
それはこんなお話でした。
『白い雲が そらに ぽっかり とありました。
「あるある、あのくものことだ」
風が ぷふぅっ と吹いてきました。
「あっ、ふいてきた、ふいてきた。」
白い雲は ふわぁっ と押されて
驚いて「うひょっ」と言いました。』
二人はにこにこうなずくと「うんうん」といいました。
『白い雲が 空に ふわぁ っとありました。
風が ぴゅ―ぁあ と吹いてきました。
白い雲は びよぉおお っと押されて
面白そうに「わ~~い」と言いました。』
二人はわくわくしながら「うんうん、それから?」といいました。
『白い雲が 空に びよぉおお っとありました。
風が だばぁああ と吹いてきました。
白い雲は どひゃぁあ っと押されて
「あれ~~」と言いました。』
二人はハラハラしながら「うんうん、それから それから?」
『白い雲が 空に どひゃぁあ っとありました。
白い雲のおなかに ぽっかり と穴ぼこがあいてしまいました。
風が ぴろぴろぴろぴろぉお と吹いてきて
「とんねる くぐってもいいですか」
と訊きました。』
二人はドキドキしながら「うんうん、それで それで?」
『白い雲は「ちょっとだけならいいですよ。
・・・ひゃぁあ~、くすぐった~い」
といって体をねじりました。
風は「でられなくなっちゃったよぉお」って言いました。
白い雲と風は「わっはっはっは」って笑いましたとさ ~おしまい~』
ゴリちゃんとリラちゃんは空に向かってパチパチパチと拍手して
大きな声で『はっはっは』と大笑いしました。
「そらさん、ありがとう。おもしろかったよ」
「じゃあ、またね」
ゴリちゃんとリラちゃんはまた自転車に乗って
土手の道をチリリン チリリンと走っていきました。
~お・し・まい~