人気ブログランキング | 話題のタグを見る

ばぶのばぶなひとときをご紹介します
by どんぽのばぶ
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31
カテゴリ
全体
アップしそびれていた日記より
3/11を忘れない
ばぶさんのお話しおじさん
ものづくりのあれこれ
華麗なる加齢ライフ
人生を共にしている生活道具
日々の暮らしの中で
保育ネタ
ばぶさん童話
ばぶさんポエム
ばぶさん童心話
災害を忘れぬために
ばぶさんな童話
ばぶさんの朗読タイム
朗読&朗読よもやま話
クッキングばぶさん
イソップイばぶさん
ばぶ式ガーデニング
震災支援活動
感動のおすそわけ
健康と病気
工房日誌
子育て・子の育ち・あそび
アイラブ賢治さん
朗読稽古のスケッチ
華麗なる加齢ライフ
思いのスキャット
職業訓練校のスケッチ
介護の仕事
介護あれこれ
眠れる森のばぶ物語
工房ばぶ便り
未分類
以前の記事
2020年 08月
2020年 05月
2020年 04月
2020年 03月
2020年 02月
2020年 01月
2019年 12月
2019年 11月
2019年 10月
2019年 09月
2019年 08月
2019年 07月
2019年 06月
2019年 05月
2019年 04月
2019年 02月
2019年 01月
2018年 12月
2018年 11月
2018年 10月
2018年 09月
2018年 08月
2018年 07月
2018年 06月
2018年 05月
2018年 04月
2018年 03月
2018年 02月
2018年 01月
2017年 12月
2017年 11月
2017年 10月
2017年 09月
2017年 08月
2017年 07月
2017年 06月
2017年 05月
2017年 04月
2017年 03月
2017年 02月
2017年 01月
2016年 12月
2016年 11月
2016年 10月
2016年 09月
2016年 08月
2016年 07月
2016年 06月
2016年 05月
2016年 04月
2016年 03月
2016年 02月
2016年 01月
2015年 12月
2015年 11月
2015年 10月
2015年 09月
2015年 06月
2015年 05月
2015年 04月
2015年 03月
2015年 02月
2015年 01月
2014年 12月
2014年 11月
2014年 10月
2014年 09月
2014年 08月
2014年 07月
2014年 06月
2014年 05月
2014年 04月
2014年 03月
フォロー中のブログ
生きる詩
梟通信~ホンの戯言
遺言
花と葉っぱ
オアシスの庭/ボヤントメ...
雑画帳Ⅱ
* 雫 * 
ゆるりんのポレポレ日記
ゆっくり生きる
人生って つむじ風、いつ...
グルグルつばめ食堂
Harvest Moon
秋田おじゃろぐ 
富士山大好き~写真は最高!
山歩路通信―さんぽみちつ...
おすすめ海外情報 ~ta...
長女Yのつれづれ記
気ままな日々綴り
こどものにわ
Night Flight...
墨のかほり
シヴィライ村便り~ラオス...
春のよき日に vol.2
momopororonの...
そらみて
メモ帳
最新のトラックバック
ライフログ
検索
タグ
その他のジャンル
ブログパーツ
最新の記事
新作『変幻303』のご紹介
at 2020-08-23 16:54
アンテナ数本立てて
at 2020-05-01 06:43
5/24 第33回朗読会ばぶ..
at 2020-04-27 06:56
朗読会を開催できぬ日々に朗報
at 2020-04-12 10:29
契約期間満了のため本日(3/..
at 2020-03-31 22:09
外部リンク
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
創作小説・詩
日々の出来事
画像一覧

虔十公園林・考 ⑧虔十さんが運んだバケツ500杯の水は?  

『虔十』というキーワードでいろいろ検索していましたら正に「虔十」という名そのもののカフェが月島にありました。そしてその店で月に一回宮沢賢治作品を花巻弁で読むという朗読会があるという情報を得て419()例会に参加しました。賢治さんのファンは根強くいます。そして皆さん賢治さんが好きな方たちばかりです。参加者は朗読をする演者も含めて21名。いい感じの規模です。自分も年6回『ワンコイン朗読会&朗読広場』という朗読会を主宰している立場なのでこのくらいの人数の方が常時参加してくれる朗読会を開催できているこの朗読会のスタイルに憧れを感じました。

閑話休題。

さてまた虔十さんのお話しに戻りましょう。

『…おっかさんに言いつけられると虔十は水を500杯でも汲みました。一日いっぱい、畑の草も取りました。けれども虔十のおっかさんもお父さんも、なかなかそんなことを虔十に言いつけようとはしませんでした。…』とあります。虔十さんの人柄がよく出ている一節です。

今では家事労働もあらゆることがらが電化され自動化され、さらにハイテク技術がすすみ、何事も世話なしになっています。 

「一日いっぱい畑の草を取る」家の手伝い、これはすぐ想像できます。さて、一方

「水を500杯でも汲む」という家事労働はどんな内容だったのだろうと様々に思いを馳せてみます。

ここから先は私の勝手な想像の世界ですが、ちょっとおつきあいくださいね。

家のすぐそばに用水路が引いてあり、そこからバケツに500杯の水を汲んで何かを満たす…、さて、なんだろう。五右衛門風呂に水を溜めることでもしたのだろうか?普段は筧の水を引き込んで用無しだったものが何かの事情でその日は一日使えず修理中だった。

コックの栓をひねれば水がよどみなく出る水道が行き渡ってない時代であればそんな出来事もあったでしょう。水は人が暮らす上で極めて貴重です。

農家の仕事をしている家庭では一日の労働を終えて、汗まみれ埃まみれになった身体を風呂で洗い流すというのは極めて御馳走です。

こうした生活の有り様の細部までを感じ取り、分かっていた虔十さんだから黙々と水を運び続けたのでしょう。

不承不承に500杯の水を運ばされていたら全くの『苦役』ですが、ここでは違います。

家族のみんなのために役に立ちたいという心根が500杯の水の運搬をやり遂げたのでしょう。

その結果ヘトヘトになって寝転ぶ虔十さんがいたのでしょうか、

『…けれども虔十のおっかさんもお父さんも、なかなかそんなことを、虔十に言いつけようとはしませんでした。』とあります。

疲労困憊でバテているけれども達成感に満ちた目の輝きの虔十さんです。その姿を見つめるおっかさんお父さんのまなざしを感じます。

水を500杯運び続ける過程で自分の目で見て、自分の脳みそでものを考え、あと半分、あともうちょっと、あといっぱいというように疲れた身体を励まし、家族のみんなの役に立ちたいという思いを貫きました。

ついに500杯もの水を運んだのです。

賢治さんの両の手のひらはすっかりまめができて潰れていたかもしれませんね。

誇らしいてのひらです。けれどもちょっと痛々しいてのひら。

お父さんは筧の水樋の修理を急いだことでしょう。

こんな家族間の心の交流が想像されます。

電化も自動化もされてない不便さ()は決して悲しいものではなく、むしろ心豊かな人々の暮らしがそこに脈打っていたのです。


by 09donpo11 | 2017-04-22 04:32 | 子育て・子の育ち・あそび