「モモ(M・エンデ)」の能力(聴きとる力)
モモはごく普通の女の子です。
特別な超能力を持っているわけでもありません。
相手の話を最初っから最後まで心を込めてじっくりと聴きます。聴き入ります。
相手の人はモモに見つめられていると本当のことを話したくなります。
時には悩みをかかえている人は、自分の悩みをモモに向かって語っているうちに自分自身で解決方法に気付いたり、時には苦しい胸の内を語るうちに気持ちが楽になれたりします。
モモは聴きとる力がずば抜けてたけているのです。やはりこれも優れた能力の一分野です。
復興支援活動をしている人たちの中に「傾聴ボランティア」という活動を続けておられる方々があります。こうした活動を通じて聴きとる力が遺憾なく発揮されているのです。
人は自分の話を本気で聴いてくれる人と話していると気持ちが楽になり穏やかになります。
忙しいからと話半分に聞いていたり、もしくは『ああ、その話なら分かっています、知っています』と言い放って聞いてくれなかったり、聴き留めてくれなかったり、聴こうとさえしてくれない扱いを受けると、その人への不信感や、自分は信頼されていないと感じたり、その人との信頼関係の有り様の現状に疑問を持ちます。職場などでの大人同士の関係では力ある人材として育てなくなるばかりか、時には育とうという意欲さえ希薄になります。ネグレクトのような相互関係は最悪です。
親子関係ではどうでしょうか、言葉や態度や表情やしぐさなどの言葉の外側の言葉で、子どもはシグナルを発します。それらを受け止めるアンテナの状態がどんなであるかメンテナンスに心がけたいものです。要は自分の都合を優先して子どもの発するシグナルに対して鈍感にならない自己チェックが肝心です。