第1話 (3/3回)『5ひきの仔豚と狼とスイカ』
ばぶさん童話 新シリーズ『5匹の仔豚とオオカミ』集より
創作メモ
◆5ひきの仔豚と狼の名前と性格
長男ぶた……ブァ太郎・・・のんびり屋・気は優しい・まとめ役
二男ぶた……ブィ次郎・・・めざとい・アイデアマン
三男ぶた……ブゥ三郎・・・理屈っぽい・思慮深い
四男ぶた……ブェ四朗・・・ちょっとあまえんぼ・まけずぎらい
末妹ぶた……ブウ子・・・・しっかりもの、がんばりや
オオカミ……のうてんき、ばかちから、いつでもポジティブ
時たま本能が顔を出す(本音は仔豚を食いたい)
まだ名前がない
第1話 『5ひきの仔豚と狼とスイカ 』 その4
(4) ごちそう いただきまーす
おおかみはそこいらから適当な棒を拾ってくると
「それでは、せかいじゅうのみなさま、
たいへんながらくおまたせしました。
このおおかみさまが、あのどでかいスイカを、
みごとかちわってごらんにいれましょう。
みなさんせいだいなはくしゅでおむかえください。」
5ひきの仔豚は 「ぱちぱちぱちぱち」 と拍手しました。
「ちっちっちっち、ちぃ」
おおかみは舌打ちしながら、一本指を立てると
自動車のワイパーのように指先を小さく横に動かして
「はくしゅが ちいさい。
もっとおおきなはくしゅをください。」
「ぱーち ぱちぱちぱち」
と5ひきの仔豚はさっきよりも大きな拍手をしました。
「ちっちっちっち、ちぃ、まぁだ、まだ、はくしゅがたりなーい」
「ばーちばちばちばちっ」
ともうこれ以上は大きな拍手ができないという
くらいに拍手しました。もう5ひきとも手はまっ赤です。
「ドラムロール!」といっておおかみはブァ太郎君を指差しました。
ブァ太郎君は、手で小太鼓を叩く真似をしながら、口で
「ダラララララララ」といいました。
「スポットライト。1ばんから4ばん てんとう!」
残りの4ひきの仔豚はそれぞれに舞台の照明係のように
ライトでおおかみを照らすまねをしました。
♪パンパカパーンッ パッ パラッ パンパカパ~~ン♪
おおかみは口真似でファンファーレの音を高らかに吹き鳴らすと
スイカのまわりをくるくる廻ったり飛び跳ねたり
片足を高く上げたり下げたりして、
まるで魔法の呪文をかけるようなかっこうをしました。
そして棒を振りかぶると両目を寄り眼にして
「むん、むん、むん、むむむむぅ
おんどりゃぁああー」
物凄い気合もろとも「えいやあ」とスイカを叩きました。
ぱっくりこん
スイカは見事に割れました。
それも大きいひときれから小さいひときれまで
スイカはみごとに六つに割れました。
まるで手品師のマジックショーのようでした。
割れたスイカはそれぞれ自分のたべたい大きさにピッタリでした。
5ひきの仔豚とおおかみは声をそろえて言いました。
「いっただきまーす」
食べて 食べて 食べました。
「あ~~おなかいっぱいだ。もう食べられない。
まんぞくまんぞく」
ただし、一匹だけはまだ食べ足りませんでした。
そのときおおかみの眼があやしくキラリと光りました。
「おれはもうすこしたべたいなぁ」
「えーっ、まだたべられるのぉ?」
5ひきの仔豚はびっくりしてききました。
「ああ、たべられるとも」
「でももう、スイカはおしまいだよ。もうごちそうはないよ」
「いいや、まだごちそうはあるさ。
ここにな。
そうとも。まずは、おまえからだ。」
おおかみは大きな口をめいっぱい大きく開けると
一番そばにいたブウ子に
「ぐぁーああ!」
「きゃー」
ブウ子はさっきスイカ割りするときに使った小さな棒を
夢中で前に突き出しました。
「ふんがぁ。ふがふがふが」
棒は見事に狼の上あごと下あごの間に挟まって
つっかい棒になりました。
おおかみは口を閉じるに閉じられず、開けるに開けられず
「ふんがぁ。ふがふがふが」
その間に5ひきの仔豚はおうちに帰りました。
「ばい、ば~い」
~第1話 お・し・ま・い~