(4/5回)第2話 5ひきの仔豚と狼 の 『お家づくり』
ばぶさん童話 新シリーズ『5匹の仔豚とオオカミ』集より
創作メモ
◆5ひきの仔豚と狼の名前と性格
長男ぶた……ブァ太郎・・・のんびり屋・気は優しい・まとめ役
二男ぶた……ブィ次郎・・・めざとい・アイデアマン
三男ぶた……ブゥ三郎・・・理屈っぽい・思慮深い
四男ぶた……ブェ四朗・・・ちょっとあまえんぼ・まけずぎらい
末妹ぶた……ブウ子・・・・しっかりもの、がんばりや
オオカミ……のうてんき、ばかちから、いつでもポジティブ
時たま本能が顔を出す(本音は仔豚を食いたい)
まだ名前がない
(7) やまない雨、とけていく とけていく
つぎの日は朝から雨でした。
雨は一日中降り続きました。
おおかみはほおおづえをついて窓から外をながめました。
空をみあげ、そして地面をみおろすと、おうちの外の道は
雨水が細い川になってちょろちょろと3本流れています。
「なるほど、かわって漢字はこれでかわになったんだ」
見事に漢字の川のような形に川がながれていました。
「なかなか風流だね。いいもんだね。
川のせせらぎをきいて一句ひねってみるか。
あー あー
あめあめ ふれふれ
かあさんがぁ・・・むむ?
だめだ だめだ
あめあめ ふれふれ
もおっとふれ あたしのいいひと・・・??
だめだめ もぉーと だめ
あー あー めめめ ぶふぶは
♪ あめふってぇ かわはながれてぇ どこまでいくのぉ
わたしもいっしょに つれてって ♪ ・・・てか?
いまいちだね」
そのときです。
ぽっ。ちょろちょろちょろちょろ。
壁の下のほうに小さな穴があきそこから雨水が
水道の水のように吹き出しました。
「よっ、かわいいふんすいくん。」
細い噴水がだんだん太くなってきます。
「とっとっと、おいそのくらいでやめとけよ。
こらっ、ちょうしにのって、とまれ! とまらんか!」
おおかみが右足の人さし指をぎゅっと穴につっこむと
水はぴたっと止まりました。実にものの見事に留まりました。
おおかみは満足そうに微笑みました。
ぽっ。ちょびっ ちょびっ ちょろちょろ じょろじょろじょろ。
今ふさいだ穴の横の方にもうひとつ別の小さな穴があきました。
おおかみは今度は左の足をぐんと伸ばして
左足の中指と人差し指の2本をむんぎゅっと穴に突っ込みました。
こんども水はぴたっと止まりました。
雨はどんどん激しくなってきました。
バケツをひっくり返したような大粒の雨 雨 雨 です。
お家の外の道は道全体がすっかり大きな川のようになって
深さも川幅もぐんぐん増してきました。
ぼっ。じょろじょろじょろじょろ。
また別の場所に穴があき水が噴き出しました。
おおかみはしっぽをぐんととんがらかして
しっぽの先でその穴をふさぎました。
こんどもすぐに水は止まりました。
「でへへへへ。おれさま、うまいもんだね。
ピタリと水をとめられた。」
と喜んでいたらオオカミの顔のまん前の壁にぽっと穴があき
水が噴き出しました。
「わっぷっぷ、ぷふぁー」
おおかみは自分のとんがった鼻先をその穴につっこんで水を止めると
「ふんが ふんが ふんが、よっ。水止め名人!」
と鼻づまりの声で 自分で自分をほめました。
次の瞬間 どばっと壁全体がぐしゃっとやぶけて
おおかみのお家はどろどろどろっと水に溶け出しました。
「わあああ
どう、どう、どうなってんだぁ?」
という叫びと一緒に
おおかみもおおかみの泥のお家も流されました。
「た、た、た、たすけてくれ~~!」
おおかみは声の限りに叫びました。
その声に答えるかのように
一本のロープがぴゅーぅうっと飛んできました。
~つづく~