(1/6回) 第3話 5ひきの仔豚と狼の 『お化け屋敷でしょ』
ばぶさん童話 新シリーズ『5ひきの仔豚とオオカミ』集より
ー創作メモー
◆5ひきの仔豚と狼の名前と性格
長男ぶた……ブァ太郎・・・のんびり屋・気は優しい・まとめ役
二男ぶた……ブィ次郎・・・めざとい・アイデアマン
三男ぶた……ブゥ三郎・・・理屈っぽい・思慮深い
四男ぶた……ブェ四朗・・・ちょっとあまえんぼ・まけずぎらい
末妹ぶた……ブウ子・・・・しっかりもの、がんばりや
オオカミ……のうてんき、ばかちから、いつでもポジティブ
まだ名前はないが文字が読めるようになったのだ。
字が読めるって嬉しくてたまらないのだ。
第3話 5ひきの仔豚と狼の 『お化け屋敷でしょ』
● かんばんをよむ狼
ある日 狼がぷらぷら歩いていると5ひきの仔豚が大きなシャベルで
小さな穴を掘り、柱を埋め、立札を立てていました。
「よう、ちびっこども立札なんか立てて何やってんだい? なになに
『ここはおばけやしきです。
こわいひとはなかにはいらないでください』
…ってか。」
「だからおおかみさんはなかにはいらないでね。」
「へっへっへ。おいら中に入っちゃうもんね。」
「おっかないからはいっちゃだめだってば」
「やーだね。おいらどうしても中に入るもんね。」
「ほんとうにおっかないんだよ。だめだってば。」
「いいから、いいから。」
5ひきの仔豚が一生懸命止めているのに
狼さんは中に入ってしまいました。
「おっ。白い立札がある。なんて書いてあんのかな? なになに
『きけん おとしあなです。ふんだらおっこちます。』
・・・ってか。おいらふんじゃうもんね。」
おおかみは片足のつま先をそぉっと乗せました。
なんともありません。
それから、かかとでトントントンとやりました。
「へん。おっこちゃしねぇじゃねえか。」
おおかみは両足を乗せました。
それでもなんともありません。
「なーにがおとしあなだぁ。ちゃんちゃらおっかしいねってぇーの」
おおかみは両足でドタバタドタバタ踊り出しました。
「たららったらぁー、てろれってれぇー、 ぅわぁああ~」
ずぼっ。
落とし穴に落っこちました。
地面の上に首だけ出ている狼は周りをきょろきょろ見回しました。
「なーるほど おとしあなね。
ふん。おいら恐くなんかないもんね。」
うんとこせ、どっこいせっ、と穴から這い出て来ました。
「あれ、黄色の立札だ。なになに
『また、おとしあなです。
おっこちないようにぴょんととびこしてください。』
…てか。どうしようっかなぁ。
ぴょんと跳び越すか、やめとこか、ううむ。それが問題だ。
とりあえず、跳んでみっか。あっそれ ぴょん。」
ずぼっ。
また首まで穴の中に落っこちました。
狼の眼の前に黄緑色の小さな看板がありました。
「なになに
『おっこちないように ぴょんと とばないと おっこちます。』
なーるほどね。うんとこせどっこいせ。」
すっかり全身砂だらけになった狼は、
自慢の毛皮をパタパタはたきました。
「あれ、オレンジ色の立札だ。なになに
『こんどこそ、おっこちないようにぴょんととびこしてください』
・・・ってか。
あらよっ。とりゃ~ぁ」
狼はその次の落とし穴の上を軽々と飛び越しました。
上手に着地すると
「でへへっへのへぇ。こんなのちゃらちゃらへぇっちゃら。うわぁ~~」
ざっぶーん。
池の中に落っこちました。
「ぷふぁ~あ。」
狼が水の上に顔を出すと笹舟がゆらゆら流れて来ました。
「何だぁ。黒い紙に白い字でなんか書いてあるぜ。
『よそみをしているといけにおっこちます。きけん。
いけのなかにはおこりんぼうのアメリカザリガニがいます』
・・・っだあ? いてててて」
ざばぁあ。
慌てて池から跳びだすと、
ザリガニがハサミで狼のしっぽを掴んでいました。
狼は全身の毛を逆立てて、濡れた体をぶるぶるぶるっとやりました。
するとザリガニはどこかにすっ飛んで行きました。
~つづく~