(3/6回) 第3話 5ひきの仔豚と狼の 『お化け屋敷でしょ』
ばぶさん童話 新シリーズ『5ひきの仔豚とオオカミ』集より
創作メモ
◆5ひきの仔豚と狼の名前と性格
長男ぶた……ブァ太郎・・・のんびり屋・気は優しい・まとめ役
二男ぶた……ブィ次郎・・・めざとい・アイデアマン
三男ぶた……ブゥ三郎・・・理屈っぽい・思慮深い
四男ぶた……ブェ四朗・・・ちょっとあまえんぼ・まけずぎらい
末妹ぶた……ブウ子・・・・しっかりもの、がんばりや
オオカミ……・のうてんき、ばかちから、いつでもポジティブ
まだ名前はないが文字が読めるようになったのだ。
字が読めるって嬉しくてたまらないのだ。
● 仔豚ヤサイオバケでショータイム・レビュー
狼が振り向くとテーブルとイスがありました。
テーブルの上にはスケッチブックと鉛筆が一本置いてあります。
狼はよっこらしょっと椅子に腰かけて鉛筆を取りました。
鉛筆には「おばけえんぴつ」と書いてありました。
そしてスケッチブックを見ると表紙にはこう書いてありました。
『あなたのすきなおばけをいつつえらび、まるじるしをつけましょう』
狼はページをめくりました。
最初のページには「やさいおばけ」と書いてあります。
ページをめくると見開きのページいっぱいに
野菜のお化けが描いてあります。
にんじんおばけ、おくらおばけ、じゃがいもおばけ、ぴーまんおばけ、
たまねぎおばけ、だいこんおばけ、はくさいおばけ、ぶろっこりーおばけ、
もろへいやおばけ、ずっきーにおばけ、ごーやおばけ、かぼちゃおばけ・・・。
「えーと、おいらどれにすっかな。」
狼はちょっと考えて人参お化けに丸の印をつけました。
すると人参の絵がもこもこと膨らんできて人参が歌い出しました。
♪じん・じん・じんじんじん
じん・じんじん・にんじん。じん・じんじん・にんじん。
じんじんじんじん じんじんじんじん・にーんじんじんじん♪ スポン
人参はとうとうページからはみ出して
テーブルの上で踊り出しました。
ハート形のサングラスをかけた女の子っぽい人参でした。
「おまえなんとなくブウ子に似ているなぁ」
人参は一本指を立てると小さく左右に振りながら
「オォー、ノー、ノー」
といいました。
つぎに狼は、オクラお化けに丸の印をつけました。
するとオクラの絵がもこもこ膨らんできて
♪くら・くら・くらくらくら
くら・くらくら・おくら。くら・くらくら・おくら。
くらくらくらくら くらくらくらくら・おーくら♪ ポン
星型のサングラスをかけたオクラも踊り出しました。
「ははん、おまえはブェ四郎だろ」
「ちがうもんね」
狼はだんだん面白くなったので
玉ねぎお化けとジャガイモお化けの二つに
ささっとすばやく丸の印をつけました。
♪たまじゃが・たまじゃが。たまじゃが・たまじゃが。
たまじゃがたまじゃがたまじゃがたまじゃが
たまじゃがたまじゃがたまじゃがたまじゃが
たまねぎ じゃがいもー♪ スッポンポーン
四角型サングラスをかけた玉ねぎと
丸型サングラスをかけたジャガイモが一緒に飛び出して
踊りながら言いました。
「ちがうよ、ぜったい、ぶぅさぶろうにぶぃじろうじゃないもんね」
「なにいってんだい。おまえらブゥ三郎とブィ次郎だね。
そうきましたか。それならとどめは・・・これだぁ」
狼は勢いよく大根お化けに丸の印をつけました。
ちょっと勢いがよすぎたので
ページがちょっとだけ破れそうになりました。
♪だぁはっ こんこんこんこん こんこんこんこん
だいこ~~~ん♪ ドシン
三角型のサングラスをかけた大根が
つんのめるように飛び出してきました。
「やっぱなぁ。ブァ太郎じゃん」
狼の推理を全く無視して5ひきはアカペラで歌い出しました。
だいこんおばけがボイスパーカッションでイントロのベースリズムを刻みます。
にんじん、玉ねぎ、ジャガイモお化けがゆびをならしてゆったりとリズムをとります。
おくらお化けがトランペットのように手を口元に当ててハイ・トーンフレーズを奏でます。
お化けたちはステップを踏みながら優雅に歌い出しました。
♪でゅわっ でゅわっでゅわっ 「っあぅ」
でゅわっ でゅわっでゅわっ 「っあっ」
でゅわっ でゅわっでゅわっ 「っあぅ」
でゅっでゅわーーーーあう ンボボンボンボン
おっれ・たーちは デュワデュワッ
おっれたーちは デュワデュワッ
なくこもだまーる やさーいおばけ
ンボボンボンボン
ばびぶべぶぅーこ ばびぶべぶぅーこ
ばびぶべばびぶべ ぶぅこぉーーーおっ
デュワ~~~♪
シュウウウウ。
と野菜お化け達は煙のように消えました。
「ブラボー。」
狼は熱烈に拍手しながら大きく叫びました。
「アンコール。アンコール。アンコール。」
と連呼するとほんの一瞬
♪デュワ~~~~♪
と姿を見せそして跡形もなく消えました。
~つづく~