(3/5回)第4話 5ひきの仔豚と風小僧
ばぶさん童話 新シリーズ『5ひきの仔豚とオオカミ』集より
創作メモ ◆5ひきの仔豚と狼の名前と性格
長男ぶた……ブァ太郎・・・のんびり屋・気は優しい・まとめ役
二男ぶた……ブィ次郎・・・めざとい・アイデアマン
三男ぶた……ブゥ三郎・・・理屈っぽい・思慮深い
四男ぶた……ブェ四朗・・・ちょっとあまえんぼ・まけずぎらい
末妹ぶた……ブウ子・・・・しっかりもの、がんばりや
オオカミ……のうてんき、ばかちから、いつでもポジティブ
えんぴつおばけ・・・・・・・・・5ひきのこぶたに知恵と勇気をさずける
かぜこぞう・・・・イタズラもので、すばしっこくって、欲しいものを見つけると我慢できない。
「我慢」することをしらない。
5ひきの仔豚は目を閉じました。
そして大きく息を吸いゆっくり静かに息を吐き切るといいました。
「かぜになる」
体がふわりと浮きました。
「わー、わー、わー」
「そよそよそよ、はるのかぜだよ。ふんわりこ」
「ふわわわわ~~ん、おふろのゆげだよ。ふわわわわ~~ん」
「くるくるくる、ぼくはつむじかぜだよ、くるくるるるる」
「じょうしょうきりゅうだ。ぴいーひょろろ。
とんびみたいでしよ。」
「びゅわわん、びゅわわん。ぼくはしんかんせんかぜだぞ」
「みてみて、くうちゅうでんぐりがえしだよ
くるりん。くるりん。」
「こんどはかざぐるまかぜだ。
みんなぼくの左手の上にみんなの左手を重ねて。
さあまわるぞ。ぐるぐるぐる。
せっけいず、ぜったいさがすぞえいえいおー」
4 戦い
ブァ太郎がみんなに言いました。
「よし、みんなで ふたてにわかれて、せっけいずをさがそう。
ぼくとぶうこはうみのほうをさがすから、
ぶぃじろうとぶぅさぶろうとぶぇしろうは
やまのほうをさがして。」
「ねえ、あいことばをきめない?」
「うん、いいね。なんにしようか」
「『ぶぶぶうのぶうう』がいい。」
「さんせーい。それがいい。」
「じやあ、『ぶぶぶうのぶうう』にけってい」
ぱちぱちぱちぱち。
「それでは、いくよおーお、
あいことばは?」
「ぶぶぶうのぶうう!」
とゆっくり静かに息を吐き切ると
「かぜになる!」
「しゆっぱーつ。」
ブィ次郎とブゥ三郎とブェ四朗は
「よーい、どん」と広い空を山に向かって飛んで行きました。
三匹は自分の好きなように空を飛びながら行きました。
ブァ太郎とブウ子が見送っていると
三匹は途中から変な飛び方をしました。
その飛び方をよく見ていたら、
マントで空中に字を書きながら飛んでいるのが解りました。
その文字を順番に読んでみると、
「『いっ・て・き・ま・す』だって。いってらっしやーい。」
ブァ太郎とブウ子は腕がちぎれるくらいに手を振って
見送りました。
「さあ、ぶうこ。ぼくたちもでかけよう。」
「うん、おにいちゃん。」
二人はゆっくり静かに息を吐き切ると言いました。
「かぜになる!」ふわわわわん
「あのあおいうみをめざして、しゅっぱーつ。」
しゅうううううっ。
ブア太郎とブウ子が空を飛んでいくと、
急に横風がぶおぶおぶおおーんと吹いてきました。
「からすども、あのふたりのマントをくいちぎるのだ。
ぶおぶおぶおおーん」
と誰かの声がして、5羽のガラスが
「があぎゃあぐわぁげあごあ」
とブァ太郎とブウ子のマントに襲い掛かってきました。
忽ちブウ子のマントもブァ太郎のマントも
からすたちの鋭いくちばしで切り裂かれて
「きゃあー、おにいちゃーん」
「あーー、おちるぅー」
勇敢なブァ太郎は落っこちながらも空中で
ブウ子をキャッチしました。
ぴゅーん・ズナズナ スナスナスナ…。
落ちたところは海岸の砂浜でした。
「ぶうこ、だいじょうぶかい?」
「うん、だいじょうぶ。」
「あーあー、カゼマントが、からすにかじられてびりびりだあ」
「もうそらをとべないかなあ」
「もういちどやってみよう。ふーぅ『かぜになる』」
二人が叫ぶと、体がふわっと浮き上がりました。
が、ひざ小僧くらいの高さにまで飛び上がったところで、
…どしん。
「いたたたた。あれ?」
ブァ太郎のポケットの中に何かがありました。
「あっ、みどりのおばけいろえんぴつだ」
「こんなときはりといとがあったらなあ。
あたし、やぶれたところぬってなおせるのに」
「そうだね。はりといとがあったらなあ」
すると不思議なことにブァ太郎の色鉛筆の先から針と
緑色の糸と赤色の糸がサラサラサラッと出て来ました。
~つづく~