第6話 5ひきの仔豚と狼のたこあげ(3・5回)
ばぶさん童話 新シリーズ『5ひきの仔豚とオオカミ』集より
創作メモ ◆5ひきの仔豚と狼の名前と性格
長男ぶた……ブァ太郎・・・のんびり屋・気は優しい・まとめ役
二男ぶた……ブィ次郎・・・めざとい・アイデアマン
三男ぶた……ブゥ三郎・・・理屈っぽい・思慮深い
四男ぶた……ブェ四朗・・・ちょっとあまえんぼ・まけずぎらい
末妹ぶた……ブウ子・・・・しっかりもの、がんばりや
オオカミ……のうてんき、ばかちから、いつでもポジティブ、
おおおとこ…雲の上のお城の主
こども………大男の子ども
まるでサーカスの空中ブランコ乗りのようです。
ぱちぱちぱちぱち 仔豚たちは拍手しました。
ぱちぱちぱちぱち 力いっぱい大きな拍手をしました。
すると不思議なことが起こりました。
細い枝がゆっくりお辞儀するようにまるで釣竿がしなるように、
くだりエレベーターのように仔豚たちの目の前まで
降りてきました。
「ありがとう。おおかみさん。」
仔豚たちは木の枝から凧を外しました。
次の瞬間。
ビヨヨヨヨォオ~オンオンオン。
「どひゃあ~~~」
狼はロケットのように空高くたかく飛んで行ってしまいました。
あらあら一体どこまで飛んでいっちゃったのでしょうね。
「おおかみさんだいじょうぶかなぁ」
「きっとだいじょうぶだよ。」
「どうしてだいじょうぶ?」
「だって、おおかみさんは・・・おおかみさんだから」
「うん。だよね」
3 仔豚たちの連凧
原っぱに、ブァ太郎とブェ四朗とブウ子もやって来ました。
それぞれ自分で作ったタコを持っています。
ブウ子とブェ四朗はハガキで作ったハガキ凧です。
ブァ太郎はやっこ凧です。
やっこさんの顔は自分の顔そっくりの豚顔です。
ブィ次郎とブゥ三郎はさっきまでのことをみんなに話しました。
自分たちの凧が木に引っ掛かって取れなくなったこと。
おおかみが凧を取るのを手伝ってくれたこと。
そしてその狼は空の彼方に飛んで行っちゃったことを話しました。
ブウ子が言いました。
「おおかみさん、だいじょうぶかなぁ」
みんなはちょっと心配そうに空を見上げ
声をそろえて呼び掛けました。
「おーかみ・さーん」
「おーかみさーあーん」
・・・・・・
「あたし、てがみかく」と突然ブウ子が言いました。
「えっ、なんだって?」みんなは一斉に訊きました。
「あたし、おおかみさんにおてがみかく」
「なんてかくの?」
「だいじょうぶですかって」
「そんなのむりだよ。
そらのたかいところまでどうやってとどけるの?」
とブゥ三郎が言いました。
「そうだ。ひらめいた」
とブィ次郎が叫びました。
「れんだこだ」
「えーっ、れ・ん・だ・こ?」
「そうだよ。れんだこ。みんなで200ぴきのれんだこをつくるんだ。
もちろん、れんだこのさきっぽにぶうこのかいたてがみをむすんでね」
「200ぴきのれんだこならそらのうえまでのぼっていくよ」
「おおかみさんのとこまできっととどくよね」
ブァ太郎とブィ次郎とブゥ三郎はさっそく
200匹の連凧づくりを始めました。
ブウ子は手紙を書きました。
ブェ四朗が一緒に文章を考えました。
「かけたよ。」
「じゃあ、よんで」
連凧をつくりながら兄さんたちが二人に言いました。
『おおかみさん。げんきですか。こぶたはみんなげんきです。
そらのうえにいっちゃったけど、だいじょうぶですか。
おそらからかえってきたら、またみんなであそぼうね。』
「よし、じゃあそのてがみこっちにもってきて」
ブァ太郎が手招きしました。
そして、手紙を一番凧にしっかり結びつけました。
「さあ、できたぞ。200ぴきのれんだこのかんせいだ」
「ばんざーい」
「ちょっときゅうけいしておちゃをのもう。」
みんなはほうじ茶を飲んでクッキーをたべました。
200匹の連凧をつくるのも手紙を書くのもちょっと疲れましたが
休憩したので元気がもりもり出ました。
「たこのかみさま、たこのかみさま、
どうかこのてがみがおおかみさんのところにとどきますように」
「とどきますように」
みんなは祈りました。
「さあ、みんなでれんだこをあげよう」
連凧は次々と空に昇っていきます。
「いっぴき にひき さんびき よーんひき ご~~ひき・・・」
一番凧は空の高い処で『行ってきまーす』というように動いています。
~つづく~