ばぶさん童話 お話ぐるりんりん (でんしゃごっこ)
☆年少組を対象に書きました。8つの独立した短いお話が次のお話へとバトンタッチしていく循環童話集です。
でんしゃごっこ
わにのワニイから泳ぎ方を教えてもらった黒猫のミャーと
白ウサギのピョン。
川の中をどこからどこまでも『わに泳ぎ』ですーいすーいと
思いのままに泳ぎまくりました。
たっぷりと川遊びを愉しんだのですっかりお腹がすきました。
それぞれお家に帰ってお昼ご飯を食べることにしました。
「ワニイ、ありがとう。またいっしょにかわあそびしようね。ばいばい。」
お家に帰る途中の道で
「あ、いいものみーつけた。すてきなものつくっちゃおう。」
「なんだいピョンちゃん?なわとびロープの長いのみたいなひもだね。」
「ほら、こうしてはじっことはじっこをむすぶでしょ・・・。そうするとぉ・・・」
「わかった。でんしゃだ」
「ピンポーン、そのとおり。おうちまででんしゃごっこしてかえりましょう」
さっそく電車に乗り込むと二人は声をそろえて言いました。
「おうちにむかって、でんしゃ、しゅっぱーつ。
がたんがたぁ~~ん、がたんがたぁ~~ん」
ところが電車はちっとも前に向かって進みません。
「がたんがたぁ~~ん、がたんがたぁ~~ん」
「ミャーくん。ちゃんとひっぱっている?」
「ひっぱっているさ。ピョンちゃんこそ・・・ちゃんとひっぱっているかい?」
「ひっぱっているわよ。
がたんがたぁ~~ん、がたんがたぁ~~ん
ミャーくんもっとちからだしてよ。 う~~ん、う~~ん。」
ピョンちゃんが力を出すとミャーくんの足が
ずるずるっと後ろに滑りました。
「れれれぇ。よおおーし。がんばるぞぉ。
がたんがたぁ~~ん、がたんがたぁ~~ん。
むんむんむんむんむううん。」
ミャーくんがもっと力を出すと、こんどはピョンちゃんの足の裏が
ずるずるっと後ろに滑りました。
「がたんがたぁ~~ん、・・・う~~んう~~ん」
「がたんがたぁ~~ん、・・・むんむんむ~~ん」
電車はちょっと前に進んだかと思うとずるずる。
またちょっと前に進んだかと思うとずるずる。
「ぜは、ぜはぁ、このでんしゃ・・・、なんかへんよ。」
「あへ、あへぇ、ちょっと…しらべてみよう。」
ミャーくんとピョンちゃんは自分の後ろをちらっと振り向きました。
その途端、ごっつ~~ん。
「あいたたたった」
「あれぇ、ピョンちゃんもしかうんてんしゅ?」
「そうよ、ミャーくんはなあに?」
「もちろんぼくはうんてんしゅ」
「あはははは。ふたりしてうんてんしゅだったからちっともうごかなかったんだ」
「じゃんけんでうんてんしゅをきめよう。
とちゅうでこうたいしながらいこうよ」
「うん、そうしよう。」
「じゃん・けん・ぽん!
あいこでしょ。あいこでしょ。」
ふたりの仲良し電車はお家に向かってしゅっぱーつ・進行。
今日のお昼ご飯は何でしょうね?
~お・し・まい~
お話ぐるりんりんとひとめぐり
~(青い帽子)~(おむすび)~(おむすび屋さん)~(くまの家族のお風呂)~(わにの背中で)~(わに泳ぎ)~(電車ごっこ)~(おおなわとび)~(青い帽子)